第5章 人の心は一つ、つねに新しきものなり
「じゃ、僕は用事があるので。その調子で頑張ってね。」
そう言って五条先生は颯爽と去っていった。虎杖くんと何やら会話していたようだが、最後の方は上手く聞き取れず、少し神妙な面持ちをした五条先生の表情だけが読み取れた。
「さて、虎杖くん。私はあなたの家庭教師を任されたわけなんだけど、はっきり言って私も急なことを言われて戸惑っているわ。たぶん先生の言い方的に一般科目の勉強を手伝えってことなんだろうけど…そいつ持ったままするのかしら。」
彼の抱える呪骸を指差すと虎杖くんも事情を把握し切っていないようで不思議そうな顔をした。
「いやー、俺もよくわかってないんスよね。とりあえずこいつ持って映画見とけしか…。」
「そっか、じゃあまあ今日はそれでいいかしら。私もまさか勉強教えるとは思ってなかったし。」
「了解っス。」
宿儺の器は意外と聞き分けが良く、すぐにソファに戻り映画鑑賞に戻った。…この映画結構面白いわね。私もポテチとコーラ欲しいわ。家にあったかな…。
家の冷蔵庫の中にあるものを必死に思い出していると、コツコツとこの部屋の出入り口にある階段を降りてくる音がした。
…誰かしら。
上層部…?いや、虎杖くんの持っている呪骸はおそらく呪力コントロールを訓練する何かしらの呪骸。私が最初に部屋に入ったときの彼の様子を見る限り修行が始まってまだ間もないはず。バレたとしたら早すぎる…。
念のため戦闘体制を……………って、先生?そう言いかけると出かけたばかりなのに戻ってきた先生は口元に指を当てて、しーっと静かにするようにこちらへ訴えかけた。
そしてその指はそのまま虎杖くんを指差す。
釣られるまま彼に視線をやると数十分前と違って呪骸を落ち着かせたまま映画を鑑賞している彼がいた。…呪力のコントロールができ始めている。飲み込みが早い。
「出かけるよ悠仁。」
「えぇ!?」