第5章 人の心は一つ、つねに新しきものなり
先生が送ってきた場所は高専の敷地内だった。治療室の近くにある使われていない部屋まで来いと詳細のメールに記載していた。
特に何も言われていないし手ぶらで行こうと思ったらまた携帯の通知音が鳴って、
"あとノートと筆記用具持ってきて!"
と追記のメッセージが来ていた。
当然そんなものは家に置いていないので玄関から部屋にもう一度戻って財布を取る。コンビニで全部揃うかな。
緊急とは言ってなかったしたまには歩いて行こうかな。高専に行く用事って意外と多いのよね。やっぱり私も寮に住めばよかったかな、棘もいるし。…でも寮狭いしなぁ。
あ、あそこのご飯屋さん潰れてる。なんであの場所に立つ店全部潰れるんだろう、不思議。呪いでも住み着いてたりして。
あれ?こんなところに家なんてあったっけ?
ここの木切り倒されちゃったのね。
この道少しだけ舗装されてるわ…業者見つかってよかったわね。
なんて景色を見ながら歩いているうちにあっという間に高専へと到着した。
指定された部屋へ真っ直ぐ向かうと何やら騒がしい音が徐々に聞こえてきた。目的地から聞こえている気がする。先生、何か厄介ごと持ち込んだんだな…。
早くも帰りたい空気感にため息を吐きながらガチャリと部屋に入るとそこにはピンク色の頭髪をした少年が恐らく夜蛾先生が作ったであろう呪骸にぶん殴られていた。
「コーラ飲んでる時はやめろや!!」
「……………えっと、何この状況。」