第5章 人の心は一つ、つねに新しきものなり
数週間後。
七夕の日に手に入れた例のストールはやはり呪具になっていたようで、一度は高専が管理することになったのだが不思議なことに私以外の呪術師が使用するとパタリと呪力がなくなってしまうという理由から管理は私、私の死後は狗巻家で管理される方針になった。
彼女の名前を聞きそびれてしまった私は呪具に催涙歌と名付けた。
今日までに簡単な任務をいくつか担当させてもらって呪具を試した結果、幻覚作用や捉えたものの呪力を奪う能力があることが判明した。
「…とんでもないもの入手しちゃったなぁ。」
自宅のソファで横になる私は改めて天の川のように煌めくストールを眺めた。
"好きなんでしょう?あの人のこと"
ストールを眺めていると彼女に言われた言葉を思い出す。まるで頭の中に直接流れ込んでくるようだ。あれから五条先生からの連絡はぱったりと止んだ。…前は少なくても1週間に1回は呼出していたのな。
今日でちょうど1週間、やっぱり私任務のために都合よく扱われていただけなのかなぁ。
寂しさを紛らわせるように枕にしていたクッションを抱き抱えた。ゴロンと向きを変えて背もたれと向かい合う。連絡がこないことが気になってどうしても携帯を触ってしまう。
"prrrrr"
「うわっ…!?」
って、五条先生?
画面に表示される五条悟の文字をして少し安堵する。さて、今日はどこから呼出してほしいのかな。前は少しだけ煩わしく感じていたことも、この恋心を自覚してから嬉しいものだと感じる。
機嫌良く電話をとると、いつもと同じようにに余裕の話し方をする先生の声がした。
「あ、もしもし針〜?ちょっと今から僕がいう場所来れる?」
「へ?」
先生を呼ぶんじゃなくて、私が行くの??