第23章 生を授かりし一なるモノは九分の死を受ける
「……。」
「ふん、まぁいい。見逃してやろう、その腹の子が成長したら必ず俺様と戦わせろ。それと引き換えだ。……17年と言ったところか。1000年と比べれば随分と短いものだ。」
「……そんなこと、私が許さない。」
「ふん、貴様に興味はない。俺にとっては全て戯言にすぎん。」
「……っ!!!!」
突如足に走る激痛に思わず膝から崩れ落ちる。…くそ、脚の腱を切られたか…っ…!!
白い床に赤い鮮血が流れ落ちていく。私の身体じゃ、魂の欠片だけだとしてもこの程度の術式を扱うには十分ってわけね…。
これは確かに、殺される…かもね。
「貴様の術式で契りを結ぶものがあるだろう。それで契れ。でなければ腹の子共々貴様を殺す。」
…子供共々今死ぬか、子供を犠牲に今この瞬間を生き延びるか…。
答えは悩むまでもない。
「……………っ…………………あなたは…成長したお腹の子と戦う。もし約束を破ったら、その時は……悟があなたのことを殺しにいく。」
「ふん、いいだろう。その契りを受け入れてやろう。」
「………我幻悉糜(がげんしつび)。」
言質は取られた。
言葉となった私の呪力が私の体の中に入り込む。そしてそれは宿儺の魂と共にするりと消えていった。