第23章 生を授かりし一なるモノは九分の死を受ける
「………っはぁ。」
術式を解除して一気に体の力が抜ける。
ソファの背もたれに自分の体を預けて、天井を見上げる。
……正直、死ぬかと思った。
意識が途切れてそのまま目が覚めないんじゃないかと思うくらいの疲労感。きっと、多用はできないわね。
呼吸を整えながら隣にいる悠仁くんを横目でチラリと見つめる。彼もまたきちんと元に戻れたようで、俯きながら
「今の方法で伏黒のこと呼び出すんだよな…あいつ、俺の話聞いてくれるかな。」
と珍しく気弱に呟いた。
…高専に戻ったとき、乙骨くんから聞いていたけど宿儺に体を取られて大虐殺を行ったり、野薔薇ちゃんもいなくなって……。
今年呪術師になったばかりの彼にはあまりにも負担が大きすぎたみたいね。
…それこそ、死にたくなるくらいに。
棘の腕がなくなったことも…。
私ももちろん悠仁くんが悪いとは思ってない。全て彼の意思じゃない。宿儺がやった。
ソファで俯くそんな悠仁くんの背中を、私はポンポンと叩いた。
「大丈夫。仲間でしょ?」
「………うん。」
封印された五条悟、七海さんや仲間の死、死滅回遊、体の一部を失った大切な人たち、呪いの王の復活、伏黒くんのこと。
地獄みたいなこの状況で私たちはそれでも生きていかないといけない。
四の五の言ってる暇はない。
「……さて、夏油さんを呼び戻しましょうか。」