第22章 烏は陽から兎は月から怱怱と逃げ出すほどの
「……それ、他の人も似たようなこと言ってました。」
そう、鹿紫雲に。
俺の知っている呪言師の呼出とはまた違うと。呪力の糸が伸びるんじゃなくて、まるで呪力が瞬間移動するみたいに術式が当たるって。
私の言葉を聞いて、夏油さんは私の膝の上から階段を降りるように離れて、再び私の隣へと腰を沈めた。
「他の人も同じように感じたということは、私の感覚は間違っていないみたいだね。
…初めはてっきり、時の流れと共に君が習得したものだと思ったけど、その様子を見るにどうやら違うみたいだね。」
_____夏油傑。五条悟の親友。
ああ、彼にはどうか悟の口から伝えて欲しかった。それだけが心残りかな。
なんて。
ふぅ……。と私は深々と深呼吸をした。
そしてゆっくりと口を開く。
「…………心当たりは、あります。」
「私に話せるかい?」
「…………死人に口はないので。」
「今はあるけどね。」