第22章 烏は陽から兎は月から怱怱と逃げ出すほどの
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「…………あ、れ。」
「全く、無理なら無理って言えばいいのに。昔から真面目だね、針は。」
来栖さんを呼んでからの記憶がない…。
けど、隣の診療台で彼女が眠っているところを見る限り呼出自体はきちんとできているみたい。…よかった。
呼出できなかった虎杖くんたちには悪いことしちゃったかな。
来栖さんを移動させられた安堵感と3人への申し訳なさで複雑な感情が渦巻いている私の様子を見て、硝子さんは水の入ったペットボトルを私に投げた。
「わっ…とと、」
慌てて受け取るとフッと鼻で笑った硝子さんが、
「あとの3人も無事に辿り着いたから、安心してちょっと休みな。」
と言ってくれた。
その言葉に甘えるように、ありがとうございますと返事をして私はベッドから立ち上がり扉を開けた。
…硝子さんには悪いけれど、休んでる暇なんてないのよね。
私は廊下を歩きながらペットボトルの水を一口だけ飲む。
そして、私は悟が作った例の地下室へ向かった。ここなら誰も来ないよね。修行で使ってたから悠仁くんが来るかもしれないけど…。
悠仁くんなら、"彼"とはほとんど無関係だし出会い頭に戦闘にはならないでしょうけど。
「"呼出"呪垓黒狐。………"夏油傑"。」