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呪術廻戦_名前を呼ぶただそれだけで。

第21章 山のうえには常に蛇がひそみ勢いづいている


瞬きすらせずに私を真剣に……これは、睨んでいるのかしら。彼が乙骨くんにしたことを考えると妥当な反応かな…。そんな乙骨くんに私は自分の考えを述べた。

「……………なんかね、引っかかるのよ。悠仁くんが受肉した過去の術師として認識されたってことは、宿儺が羂索と縛りを設けて死滅回遊の泳者になっていたってことでしょ?

1000年生きた羂索が悟や乙骨くんがみたいに自分が倒される人物がいるのにも関わらず何も対策を講じないわけがない。……なにか、何か引っ掛かるのよ。」

しかし、乙骨くんがそれで納得するわけもなく彼は静かに唸るように言葉を紡いだ。

「……その、何かわからない羂索の僕ら対策を防ぐために夏油を復活させるんですか?」

「……復活させるわけじゃない、一時的に呼び戻すだけよ。」

「……それでも、呼び出した彼の魂が消えれば羂索に意識はまた戻る。…それをさせるわけにはいかない。つまり夏油の魂を呼び戻した場合、計画を完全に阻止するまでは彼がこの世に留まる他にはないですよね。」


…彼は、乙骨くんにとっては宿敵も宿敵。乙骨くんが呪術師になってから初めて現れた明確な"敵"。…友達が3人も重傷を負わされているわけだし、なかなか払拭できる感情ではないでしょうね。


「……そうね。それでも、羂索の計画が実行されるよりはマシよ。」

「…………。」


…彼にとっては苦渋の選択か。

乙骨くんは打つ手なしと言った感じで眉間に皺を寄せて黙り込んでしまった。

…これを話して納得するかわからないけど、私は息を吸って吐き出すように話し始める。

「………去年、悟は棘とパンダを夏油の元に敗北すると知りながら送り込んだ。悟はそれを、"死なない保証があった"って言ってた。」

乙骨くんは表情は相変わらず固まったまま視線だけをこちらに向けた。話は聞いてくれているみたいなので特に私は気にすることはなく話を続ける。

「夏油は、人類の敵であって私たちの敵ではないのよ。本来はね。

…………と、私は思っているけれど、乙骨くんには理解し難いかな。」



「………そう、ですね。すみません。」

それでも、乙骨くんが頷くことはなかった。

「ま、魂が私のイメージで勝手に創り出されたものなのか、本物なのか…まだわからないけれどね。まだ時間はある、ゆっくりみんなで考えましょ。」

「……はい。」

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