第21章 山のうえには常に蛇がひそみ勢いづいている
______翌朝の夜明け。
私はまた1人、東京に立った。
秤くんたちと別れ、悠仁くんたちのいる元に向かうためだ。ここからだと徒歩で2時間弱ってところかしら。でもまぁ、
「術式反転、"ビル"。」
建物を対象に弾いてしまえばスピードはあがる。それに加えて、催涙雨を電柱や高い建物に結びつけて飛び回ると1時間足らずで悠仁くんたちのいる東京第一結界へと到着した。
呪力を回復させようと体を休めるために、木々の多い公園へと着地する。ここなら見晴らしもいいから敵の接近にも気付けるし、反対にこちらの身も隠せる。
あとは彼らとどう合流するかね。
……だけど、その前に。
一息整えて、十分な休息を取ったのちに
「呼出、呪骸"キツネ"。」
私は夜蛾先生の残した呪骸を呼び出した。
その呪骸は"外側"のみで、中身は伴っていない。パンダから予め聞いていたまだ器しか用意されていない呪骸になる予定だったものだ。
「"領域展開"、言言坐臥。」
緑が生い茂る公園から一転、領域によって景色は真っ白に染まる。
………魂の認識ね。
そんなものできるわけないでしょ。けど、一応?領域の必中効果信じて、あとはまぁ五条家の力頼みってことで。
「"呼出"、夏油傑。」