• テキストサイズ

呪術廻戦_名前を呼ぶただそれだけで。

第20章 言葉はただそこに坐り臥すと少女は言う


秤くんと合流した私たちは倉庫内に入り、呼び出した家具たちで身を休めながら今後についての話し合いをした。

鹿紫雲に現状と今後についての予定について一通り話すと彼はまじまじと私の顔を見つめる。

「ちょっと、話聞いてるの?」

私の話をまるで聞いていない様子の鹿紫雲に注意するも、彼はそんな私に一切構うことなく口を開き淡々と述べる。

「お前の術式は一体なんなんだ。」

…ああ、と。これまで何度も聞かれた質問に対して私は慣れた口調で応答した。

「呪言よ。」

「俺の知っている呪言師に比べると随分と異質だった。」

「そうかもね。」

私もまた淡々と答えるも、鹿紫雲はそんなことはわかっている、と言わんばかりに首を横に振り頬杖をついた。

「おそらくお前が思っている異質と俺が感じたものは違う。お前と同じ能力を使う呪言師は過去にもいた。…が、俺の名前を呼んだときにぶつけられた呪力が異質だった。」

「呪力が?」

「俺が知っているお前と同じ能力を持つ呪言師は、その呼出とやらをされると呪力の糸がこちらに結びつけられるような感覚だったが、お前の呪力は問答無用で俺の体に入り込んできた。俺がお前の呪力に反応できなかったのはそれが原因だ。」

「そんなはずないわよ、だってそれだと…。」

……私の"術式反転"のカラクリが使えないはず。と、言いかけて私は言葉を飲み込む。うっかり"術式反転"のトリックを漏らすところだった。

そう、言葉上術式反転と呼んでいるだけであって私は体内で呪力を反転させているわけじゃない。

通常、術式反転は反転させた呪力を放出することで発動する。

私の使う"術式反転"は鹿紫雲が言うように、呼出によって出た糸のような呪力をこちらに呼び戻し、呼出の命令に矛盾を発生させてバグを起こし対象と距離を置く。

簡単に言えば、マイナス×マイナス=プラスという行為を体の外側で強制的に行なっているのだ。

その工程を省略するために、その行為に"術式反転"という名前を付けているだけだ。

なので鹿紫雲が感じ取った瞬間移動的な呪力の移動は、本来私の行う"術式反転"が行えないはずだ。なぜなら鹿紫雲に呪力がぶつかった時点で呼出の命令は完遂されていて命令に矛盾自体が起きなくなるからだ。
もし0.000001秒以内の誤差であるなら可能かもしれないけど…。それは黒閃と同義だ。


/ 230ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp