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呪術廻戦_名前を呼ぶただそれだけで。

第20章 言葉はただそこに坐り臥すと少女は言う


包帯を呼出して、パンダに巻いてもらいながら2人が戦い終えるのを待つ。どれくらい経っただろうか。近距離の呼出なら何度か使える程度に回復した頃に、海辺でドカンと水が跳ねる音と共に戦闘の音は鳴り止んだ。

パンダと2人で音の鳴った防波堤へ向かうと、そこには片腕だけになった秤くんと地面に倒れる鹿紫雲がいた。


「秤!!!」

小さな体を全力で振りながら秤くんに近づくパンダ。私もまたパンダの少し後ろを歩いて2人に近づいた。

「パンダと狗巻姉か。ちょうどいいや、コイツ仲間になったから。」

「は!?」

秤くんの言葉に驚くパンダ。なんだかとても満足げな顔をしている秤くん。けれど…。

「残念ながら、もうその約束はとっくに取り付けてるのよ。」

「は!?」

今度は私の言葉に驚く秤くん。

「知らずに戦っていたのか。」

体を起き上がらせると、鹿紫雲は関節を鳴らしながら立ち上がる。そして、パンダの後ろに控えていた私に近づくと

「約束は守ってもらうぞ。」

と言った。わかってるわよ、と答えると後からついてきた秤くんがワナワナと体を震わせた。

「俺が戦った意味ねぇじゃねぇか!!!!!!」

「聞く耳持たなかったじゃない。」

「んだよ、くそが。……ま、いいわ。ちょっと行くとこあるからオマエらここで待っとけ。」

秤くんはそう言うと、私たちを残してどこかに行ってしまった。…片腕失くしてまぁいっかで済ませられるのね…。

「はぁ…、ちょっと休憩。」

と腰を下ろしたそのとき。それぞれに付いていたコガネが一斉に口を開いた。

「総則追加!!!総則10!!!!!!泳者は他泳者に任意の得点を譲渡することができる!!!!!!」


「………嘘でしょ、タイミング、悪すぎ。」

まぁいいけど…。これで言質は無効になってしまうわね。
…無効になるということは、鹿紫雲も悠二くんを戦わせる約束を守る必要もなくなったと言うこと。まぁ、鹿紫雲には黙っておきましょうか。
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