第20章 言葉はただそこに坐り臥すと少女は言う
静まり返った戦地と「口が固いんだ」というパンダの言葉から、パンダが何かしらを聞き出されている状況だということを察した私はすぐさまパンダを呼び出した。
……呼び出したパンダに首から下はなく、予想外の出来事のあまり言葉を失う。
そんな私とは反対に、パンダは頭だけなのにも関わらず口を開いた。
「針!?お前なんでいるんだよ!!!」
「私だって知らないわよ!!てか、大丈夫なの!?体ないけどなんで喋れるの!?生きてるの!!?!?」
「とりあえず今は逃げろ!!絶対にあいつに見つから……」
と、パンダが言おうとしたそのときだ。
ビリビリ…
電撃が近づく。慌てて地面に転がるパンダの頭部を再び呼び出し両腕で抱えた。物音のする方へと振り返ると、そこには青髪の青年がいた。少しエメラルドグリーンを帯びたその青髪を、ツインテールのように高い位置で結び丸めている青年は、
「雑魚が1匹増えたのか?」
と、パイプのような得物を肩に掲げてだるそうに言った。
周りでバチバチと跳ねている呪力は明らかに異質で、彼が只者ではないことがすぐにわかった。
「……逃げれるか、針。」
私の脇に抱えられた頭部のみになってしまったパンダは、そう問いかける。
……それが鬼門だ。頭部は生物が持つ部位で1番重たい。正直、今抱えてるパンダの重量で身動きが取れないのだ。
下手に置いて行って頭部が破壊されたらいよいよパンダは殺されてしまうだろう。
困ったわね…。パンダを迅速に戦闘不能にしてしまうような強い相手と早々に戦うことになるなんて。
「あいつは呪力が電気みたいになってる。常に帯電しておそらく向こうが帯電してる方と反対の電極をこっちにぶつけて強制的に引き寄せて攻撃を避けられないようにしてる。」
「……つまり、こっちが電気を帯電しなければオッケーってことね。」
「ゴタゴタうるせぇ、宿儺の場所教えろや!!!」