第3章 星はひかれど燎火をもとめる原いん
______数日前
最近呪いの動きが活性化し始めたせいか、一般人の間では肝試しやそう言った類の物が流行り始めていた。
近寄らない限り被害をもたらさない比較的大人しい呪いも積極的に祓う方針になり1級、準1級、そして僕のような特級呪術師を中心に動くことになった。
話を聞いたのは少し前。
七夕に自殺した令嬢が呪いとなっている廃墟へと針と琢真が行くことになったらしい。同期だし2人とも仲がいいから最初はいつものことだって自分を言いくるめられていたんだけど…。
偶然琢真と会って、彼は困った顔をしていた。
「あ、お疲れ様っス。五条サン聞いてくださいよ〜。俺今度針と任務行くことになったんスけど…。なんか恋人のフリしなくちゃいけないっぽくて、あいつ弟にゾッコンで彼氏とかできたことないらしいから正直気が重いつっつーか…。五条サンあいつと仲良いしモテそうだしどうしたらいいかわかるかなって。」
「…………………は?」
思わず口から先に動いてしまった。つまり琢真はあと数日もしたら針と擬似肝試しデートをするということになる。あー、手繋いだりすんのかな。僕でもしたことないっつうの。
嫉妬心というよりも自分の物が取られたような独占欲や支配欲からイライラしてしまう。思わぬ僕の返答に戸惑っている琢真は口を開けたままポカンとしている。
「えっと……五条サンってもしかしてもしかしなくても?」
「僕も初めてのことで困ってるんだ、あんまりからかわないでくれよ。」
「あー、なんかすんません。俺、どうしたらいいっスかね?」
くだらない独占欲と大人気ない支配欲だということは理解しているが、到底耐えられるわけがない僕は琢真との平和な話し合いの末、琢真に代わってその任務に行くことにした。