第18章 今之感情と昔之感情
「てか、こんな重たいもの使えるわけないでしょ。」
「軟弱者めが。」
呪力コントロールを身につけ、小学生の頃くらいの会話能力を再び手に入れた私は禪院直毘人に文句を垂れた。
与えられた霧雨があまりにも重いしデカすぎる。中学生の小娘が扱えるわけがない。
…同じ敷地内で刀ぶん回してる禪院真希という中学生の小娘がいたのはまた別の話。
「…これ、小分けにできないの。」
「できるわけなかろう。」
剣柄を持つも、重力に耐えきれず地面に突き刺さる刃。
夏の日差しに照らされてチカチカと反射しており、光の反射をよく見たら刀身は日本刀のように一刀ではなく、細かな鉄の塊が寄せ集まっているような刃をしているようだった。
「よし、剣刃割ろう。"トンカチ"。」
「馬鹿者!!!!!!」
「痛ぁ!!!!!なにすんのよこのぼけジジイ!!!」
「こっちのセリフだ、たわけ!!!!」
私がトンカチを呼び出すと、すかさず直毘人さんは私の頭を引っ叩いた。長たらしく小言を述べる彼を無視して、ヒリヒリと痛む頭を抑えながら私は小さく呟いた。
「………できると思うんだけどなぁ。」
その日から私は修行自体に身は入れず、霧雨をなんとかして分散させ私の扱える代物に変えることばかり考えるようになった。