第18章 今之感情と昔之感情
平凡な狗巻家にそれは見事な大剣が贈られてきたのは、あれから数年経ってからだった。
______中学生になった私は、無口な生徒になっていた。当然、友達もできるわけがない。呪術師としてではなくなんとか一般社会に溶け込める術を身につけるため必死だった。
友人もおらず、打ち込めるものが勉学だけだった。
そんな私の姿を見て両親は少しだけ安堵していたようだった。
「一般社会において優秀な我が子」が誇らしかったのかもしれない。
しかしそれと反発するかのように私の呪力は成長と共に肥大化していた。
私だって年頃の女の子だから、本当は勉強以外の、もっと…。みんなと遊びたかった。お喋りしたかった。…羨ましい、妬ましい。私の居場所は…。
そんな負の感情が内側で膨れ上がっていたんだ。
そして、届いたのだ。
年頃の娘が扱うには文字通り大きすぎる見事な大剣が。