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呪術廻戦_名前を呼ぶただそれだけで。

第18章 今之感情と昔之感情





「……!!!」

私の姿を見た棘は目を見開く。すると目を細めて口元が緩んだ。

「……棘。大丈夫よ、大丈夫。」

それから私もまた棘を抱き締めて、名前を呼んだ。

今の棘には私には計り知れない重圧がかかっていることだろう。私にはどうにもできないほどの。

棘は目を閉じて、ただ私の呪力が自分の体に溶け込んでいく感覚を噛み締めているようだった。

付き添いをしていた男も部屋から退出し、お互いの最近起きた話をしながら、しばらく姉弟の時間を過ごした。

それから日もすっかり落ちた頃にトントンと襖を鳴らす音がした。「時間だ」と言いたいのだろう。

「姉さん、帰るからね。修行ちゃんとやるんだよ。」

「……しゃけ。」

コクコクと棘は頷く。よかった、やる気になってくれたみたい。

私も成長するにつれて自分の呪力が高まってようやく理解したが、
呪言師は意図せずさらに安易に他人を傷つける。自制する能力は必要だと。今の棘にはこの時間は必要なことなのだと理解している。


……私は、落ちこぼれみたいだから修行は必要ないって判断されているみたいだけど。

…棘は、呪術界で生きていくのかな。
______私は、どちらとして生きるべきなんだろう。


「迎えの車を寄越すので中庭で待っていてくれ。」


子供ながらどこか俯瞰的になってしまった私はあの家に帰り孤独になるのか、と小さくため息をついた。


「退けや、ガキ。」

その時だ、無神経な男が現れたのは。
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