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呪術廻戦_名前を呼ぶただそれだけで。

第18章 今之感情と昔之感情



「棘。」

私の手を握る小さなその命の名前を呼ぶことが愛しかった。…私の術式は側にいればただその人の中に溶けるように消える。

幼い棘もまた、流れ込む私の呪力を感じてはくすぐったそうにして、それから嬉しそうに笑った。

呪力を持たない両親の言葉は胸には響かなかった。
だからこそ、幼い私はただ自分と同じように呪力を持って生まれた棘の存在が心の拠り所になった。
私の指を握るその小さな手が愛しくて、弟という存在が尊くてたまらなかった。


しかし、呪言師として生まれた私たち姉弟の人生は愛情だけでは上手くはいかない。

互いに術式が意図せず学校で発動してしまったのだ。私は誤魔化すために苦し紛れの嘘をつき、棘は同級生を傷つけた。



それから、上層部から重宝されている棘は術式コントロールを学ぶためにいなくなってしまった。

私は、また久しく感じていなかった孤独を感じながら過ごすことになった。
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