第17章 愛にかわる苦しみと離別
「…………はぁ。」
「そんなに嫌なのか。」
他に選択肢もないので、翌日私はパンダと狗巻家に向かうことにした。しかし足取りが重く、私の先を歩いていたパンダが振り返り立ち止まった。
トボトボと歩く私がパンダに追いつくとパンダはよいしょっと言って私を持ち上げた。
「ちょ、何してるの!?」
「時間の無駄だ。歩かないなら担ぐ。」
パンダの脇に抱えられた私の全身をパンダのふかふかボディが包み込む。あ、待ってこれやばい、パンダの体温と相待って気持ち良過ぎる…。
「…‥寝とけよ。昨日、見張りしてろくに眠ってないだろ。」
「……気づいてたの。」
「朝死にそうな顔してるお前の顔見てな。」
…そう、念のため私の残穢を辿った追手を懸念したのだ。ベッドを(サイズ的にも)パンダに譲り、私はソファで眠る…ふりをしていた。半分は、悪阻が酷くて眠れなかったのもあるけれど。
…まぁ、それがなかったとしても、パンダも可愛い後輩なわけだし。
バレていたことがなんだか少し気恥ずかしくて私は特に何も言い返さずパンダの身に包まれながら瞼を閉じた。