第17章 愛にかわる苦しみと離別
「………パンダ。」
「……。」
パンダは、固有名詞が存在しない為に"呪術高専の"と本来付け加える必要がある。
固有名詞を使用する理由は呪力消費を抑えるための縛りであるため、本来呼出をするのに固有名詞は必要ない。引き換えに膨大な呪力を消費するだけで。
つまり、今私は莫大な呪力を消費した。
呪力を大量消費したからなのか、それとも夜蛾正道の死亡を確認したからなのか…いや、どちらもだろう。私はその場で崩れ落ちる。
じゃり…と静かな公園に私が立てた音だけが響く。
目の前には、夜蛾先生を抱えるパンダがいた。…人を呼び出す際、"物"は対象の所有物である限り一緒に呼び出される。…つまりあれは死体である。
わかっていた。
…ああ、ダメだ。呪力コントロールなんて考えずに呼出をしてしまったから…体がだるい。
パンダも夜蛾先生が私に何を命じたのか察しているのだろう、何もできなかった私を責めることはなくただ静かに涙を流していた。