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呪術廻戦_名前を呼ぶただそれだけで。

第17章 愛にかわる苦しみと離別





「そんな、いくら夜蛾先生でも呪骸を連れずに1人だなんて…。」

「そのためのお前だ。信号を送るから、回避役として待機しておいてくれ。」

「……。」


……至極真っ当な意見だと思う。私はもう言い返すこともなく黙り込む。今この状況は、何があっても死なないことがベストだ。この先、私が死ぬことで助かる命が助からない可能性もある。


「……わかりました。」

ぐっと言いたいことを飲み込んで、私は夜蛾先生の背中を見送る。
陽はすっかり落ちて、陰り冷え切った風は私の髪を揺らす。遠のいていく夜蛾先生の背中は闇に呑まれていった。




_______しかし、一向に夜蛾先生からの信号とやらはなかった。


ざわざわと木々が私の心を掻き立てるように揺らめく。ああ、ダメだ。

私の頭の中は"最悪の想定"でいっぱいだった。どうか、どうか…。

私は、夜蛾先生の名前をもう一度呼んだ。しかし呪力は空撃ちとなり、宙を抜けていく感覚がした。


______呼出は、"人間"の場合のみフルネームが必要である。


死体になると、名前では呼び出せない。
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