第17章 愛にかわる苦しみと離別
そして2人で公園の少し錆びれたベンチに腰掛ける。
秋風が木々を揺らし、鳥たちは騒々しく飛び立っていく。風が少し冷たく季節の変わり目を告げていた。
腰を下ろして膝の上で手を組む夜蛾先生の口から重々しく飛び出た言葉は、信じられないものだった。…夜蛾先生の死罪、悠仁くんの猶予取消、悟が呪術界から永久追放…。
「…どうしてそんなことに。」
「わからん、悟を追放することはデメリットの方がデカいはずなんだが…。」
「……。」
しばしの沈黙。突然の宣告にまだ夜蛾先生も戸惑っているようだった。
しかし、止まっている時間はない。
「……パンダは。」
私は囚われてるパンダの名前を絞り出した。もちろん「助ける」という意思を示す為に。
しかし、夜蛾先生は俯きながら首を横に振る。
「ダメだ、呪力の及ばない部屋に隔離されている。」
夜蛾先生はかけていたサングラスを外して、ふぅ…と溜息を吐く。落ちかけの日がガラス部分に反射しているがその光は何かを照らすわけでもなく、天に吸い込まれてしまっている。
夜蛾先生は俯いたまま地面を見つめていた。けれど、その視線の先は何か違うものを見ている気がした。まるで、何かを決心するような目だった。
「……直接助ける必要がある。」
…直接。つまりは敵だらけの高専に再び戻るということ。
「私も一緒に…」
すかさず援助を申し出た。当たり前だ。けれど私がそう口を開いたと同時に夜蛾先生は
「ダメだ。」
と言った。