第17章 愛にかわる苦しみと離別
まずは、私。
______高専上層部は妊娠のことを知っているか。少なくとも恋仲であったことは知っている。
五条悟という強大な力が消えたせいで御三家のバランスに変化が起きているはず…。禪院家と加茂家が身を乗り出す。そこに五条悟の術式を継いだ子供がいることが発覚したら間違いなく消されるだろう。
……バレるわけにはいかないな。
五条悟について。
今私たちの最善は五条悟の封印を解くこと。それに協力してくれる人物を味方と捉える。裏切り策略が飛び交うだろう。味方よりも敵ではないと考えるべきね。では逆に敵は誰か。五条悟の封印が解けて困るのは、封印した張本人である加茂憲倫、それから上層部を警戒するべきかしら。
加茂憲倫もとい偽夏油。
それこそ目的は私たちの理解を超えているだろう。ただこちらにメリットがあるものではないことは確か。おそらくこの一体は呪霊と呪詛師が絡んでいる。周りにいた真人のような特級呪霊たちはほぼ全滅してると思われる。ただあの余裕がある素ぶりから、こちらの把握外の戦力がいるでしょうね。
上層部。
五条悟がいなくなった今は、禪院家と加茂家ね。…あとは高専上層部か。……禪院家と加茂家は五条悟を潰す方向に進みそうね。全く、あなたたちが彼の代わりができるならいいけれど、………慢心だわ。
ということは高専で身を潜めておくべきなのは正しい選択肢ね。
今完全に信用に値し、かつ戦力になるのは
呪術界に元々しがらみのなかった虎杖悠仁と伏黒恵、悟が秘匿で任務を与えていた乙骨憂太、土壇場で現れた九十九由基、禪院家を嫌う真希ちゃんくらいだろうか。
……棘は、上層部が意地でも残したい呪言師の末裔だから保護されていると信じたい。
つまり、五条悟と恋仲である私が下手に近づくと人質にされたりする可能性があるわけだ。
今すぐ呼び出したいけれど、九十九さんから重傷を負っているとだけ連絡を受けた。今の私に棘を治療する環境を作ることはできない。
「はは、参ったわね…。」
無関係者のふりをするしかないってことね。
夜蛾先生は、上層部なのかこちら側なのか…。