第16章 第16章 千の篇も一に律される
そして、偽物の夏油傑は術式"うずまき"について語った。
取り込んだ呪霊を一つにまとめ、超高密度の呪力を相手へぶつける呪霊操術。ただ、この話をした意図が…わからない。
でも時間を稼がなければいけない。"彼女"がすぐそこまで、来ている。
「馬鹿だな。」
そう言った偽物の夏油傑は天を仰いだ。そして、空に浮遊していた西宮桃を見つめた。
……気づかれた。
「君が感じた気配に私が気づかないと思ったのかい?」
西宮さんの存在がバレたことにより、怒涛の攻撃が始まる。おそらく、東堂くんに続いて京都高専組が到着したのだろう。
「……うずまき。」
しかし、三輪霞が前に出たところで先ほど再三説明のあったうずまきが現れる。
………超高密度の呪力ね。
「"呼出"三輪霞。」
それでも、当たらなければ意味はない。
三輪さんは目を見開いてこちらへ何回も振り向いた。
「ごめんね、びっくりさせて。"呼出"させてもらったわよ。」
「えっと、つまり助かったってことでいいんでしょうか?」
「ええ、ただ…ここからが本番みたいだけど。」