第16章 第16章 千の篇も一に律される
「……返せ」
「五条先生を返せ!!」
悟を封印した犯人だと知っていた悠仁くんは真っ先に夏油傑らしき人物に向かって走り出した。…まずい、彼じゃ敵わない!!
「"呼出"!!!虎杖悠仁!!」
「!?針さん!!!!!」
慌てて悠仁くんを呼び止めるもその瞬間に感じたのは、果てのない暗闇に落下する感覚。
「落ちたと思っただろう。端から見れば君たちが勝手に引っくり返っただけなんだがね。」
「呪霊操術の強みは手数の多さだ。準1級以上の呪霊を複数使役し、術式を解明、攻略されようとまた新しい呪霊を放てばいい。」
「勿論、その間を与えずに畳みかけるのもいいだろう。」
夏油傑の足元から影が伸び、一方は私の体を抑えつけ、もう一方は一直線で悠仁くんへと向かう。
「悠仁くん!!!!!!」
その影は悠仁くんを掴み取りそして地面へと叩きつけた。
「狗巻針。私を、誰だと言った?全く困るよ、どいつもこいつも見破りやがって。記憶も立ち振る舞いも確かに夏油傑そのもののはずなんだけどな。」
「…………去年の百鬼夜行、新宿と京都に戦力を分散させてなければ勝っていたのは乙骨ではなく"彼"だったろう。」
彼………夏油傑のことか。やはり、こいつは本物の夏油傑じゃない。一体、誰が…。
「続けようか。これからの、
世界の話を。」