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呪術廻戦_名前を呼ぶただそれだけで。

第16章 第16章 千の篇も一に律される




そう、ここまではこちらが有利だと思っていた。

頭の中で勝手に、真人はこれをしないと思っていた。だって、悠仁くんの中にはあの両面宿儺がいるから。魂に触れたら奴にも触れるということだから。

恐れていた事態が、起きる。


「領域展開」

予想外としか言いようがない。


しまった…!?
でもどうしてこのタイミングで…、自殺行為でしょ!?

いや、違う、
展延を…!!!!!

それはコンマ数秒もないうちに終わった。体感0.2秒の出来事だった。

東堂くんと悠仁くんは!?間に合ったの!?

彼らの方を見ると、そこに広がっていた光景は

バスッ

と東堂くんが自らの左腕を切り落とす光景だった。それでも真人の攻撃は止まらず、東堂くんの腹をやつの拳が直撃する。


だめっ…!!!!殺させない!!!!!!!

「"呼出"…………!?」

プツリと千切れる東堂くんの首から下げていたペンダント。それがパタンと地面に倒れ込む瞬間に

パチン

と手は鳴った。
東堂くんは真人の手と自らの手を合掌させ、術式を発動させたのだ。

真人の前に現れたのは悠仁くん。そして、再び彼は真人に黒閃を打ち込む。


「針さん!!!!!東堂を!!!!!!!俺はいい!!!!!!!」


姿を変えた真人に向かい、戦う彼を見て私は理解した。もう私は踏み込めない領域になっていると。

私は倒れ込む東堂くんに応急処置を手早く施した。


「感謝する。」

東京くんはボロボロの声でそれだけ言うと、のそりと立ち上がった。
そして、凹んだ地面で戦う悠仁くんたちを見下ろしながら腕を広げる。その左腕は、もう手首から先が切断されてしまっている。

しかし、東堂くんは言葉を続けた。


「呪霊よ。オマエが知らんハズもあるまい。」

術式を発動すると誰もがそう思う。
そう思った。


「腕なんて飾りさ。拍手とは…










残念だったな。」


けれど東堂くんは不敵な笑みを浮かべるだけで手を叩くことはなかった。


「俺の術式は、もう死んでいる。」

と儚げに腕を見つめ、彼は俯いた。
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