第16章 第16章 千の篇も一に律される
悠仁くんの拳は真人にまっすぐ向い、そしてその顔を捉えた。
しかし、これでは終わらない。
「"呼出"霧雨1本。」
私は呼び出した霧雨を東堂くん目掛けて投げつける。
「不義遊戯。」
霧雨が東堂くんに当たる残り2mほどの距離になったタイミングで東堂くんの術式発動。
霧雨と悠仁くんの位置が入れ替わる。
「術式反転、"真人"。」
「…は。」
これは予想していなかったと言わんばかりに目を見開く呪霊。1秒も経たないうちに私は東堂くんたちの近くへ戻る。
「うん、これでいけそうね。」
私と東堂くんの能力は、かなり相性が良い。
故に、"バディ"なのだ。
けれど…まぁブラザーって言うくらいだし私よりも悠仁くんと東堂くんの方が相性は良さそうね。そういえば、悠仁くんと共闘するのはこれが初めてだ……。
「いけそう?」
「押忍!!!!!!」
「いい返事。」
カランカランと悠仁くんと入れ替わった霧雨のナイフが真人の足元に落ちる音がした。