第15章 叫び喚いてもそこは地獄にかわりなし
「はは………当たり…。」
ここはどこだろう。残っていた呪力をほとんど使ってかなり遠くまで飛んだから、うまく逃げられたようだけど…。
術式反転は、通常の呼出と違い相手に呪力を飛ばすのではなく、自分に呪力を飛ばすのである意味必中の逃げ技である。
しかし、難点がある。移動先が指定できないことだ。だから今ここがどこだかわからない。
でも、まだ向こうに残された3人を呼び出すわけにはいかない。追いかけられている可能性があるからだ。
重症の3人を抱えて逃げ切る自信などない。
しかし、単身であれば圧倒的強さを持つ相手から逃げ切る可能性が少しある。
______それは、慢心。
それに…、あれほど強いのに器用さは感じられなかった。これは経験談だけど物事において器用な人間ほどよく喋る。不器用な者は物言わず無駄を省き淡々と作業する。
1人目2人目…とただそれだけ言っていた奴は特級の中でも所謂頭が堅いタイプの呪霊なのだと予想した。
だから、型にハマった考え方をするのではないだろうか。私が仲間を助けに戻る可能性だとかそう言った裏をかくようなことは考えず、ただ追いかければいつか殺せる、と考えている…と、期待しているけれど。
壁を支えにし、なんとなくの方向感覚で元の場所へ向かう私。
______。
…っなに!?
突然現れた禍々しい気配に全身の毛が立つ。
私は知る由もなかった、この時虎杖悠仁が両面宿儺の指を10本も無理やり飲まされていたなんて。