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呪術廻戦_名前を呼ぶただそれだけで。

第15章 叫び喚いてもそこは地獄にかわりなし




なのに、運命というものは残酷だった。


「だ、れ…。」


現れたのは呪力を持たない男。黒髪に口元の傷のある、呪力がないのに只者ではない雰囲気を纏う男。

あの真希ちゃんから遊雲をぶん盗っていた。果てしなく強いことだけがわかる、謎の男。彼は一体誰なんだろう。


「甚爾か!!」

と、禪院直毘人は言った。
直毘人さんが知っている、?ただの敵でも他人でもないように呼ぶみたいに、彼は正体不明の男のことを呼んだ。

目の前で圧倒的な力を見せつける甚爾という人物に私たちはただ呆然とするしかなかった。

そして呪霊の消滅という形で、ものの数分もしないうちに私たちは領域の外へと出られたのだ。しかし…

彼は味方なのか…。



なんて迷っているうちに、颯爽と謎の男は伏黒くんを連れ去って行き、それとは別に遠くから一つコンクリートを叩く足音が鳴った。
一体何者だとそちらを向くと、そこにはまたも特級の呪霊がいた…。

先ほどの呪霊が海の象徴というのなら、こいつは山…いや、火山。自然という大きな力を持った呪霊が、こんなに次々と現れるなんて、

それに、こいつ…どう考えてもさっきの呪霊よりも強い。


「一人目。」

瞬く間に七海さんが火の海に沈む。私が呼び出す暇もなく。

「二人目。」

「三人目。」



真希ちゃんも直毘人さんも成す術なく燃えていく。災難を振り払えばまた災難が襲いかかってくる、あまりにも残酷な状況。

ああ、終わった。ごめん。あなたを巻き添えにしてしまった、ごめんね。
と、私はお腹を抱えるように俯きぎゅっと瞼を結んだ。

「……ぐっ………!!!!」

と激痛が走る。けれどそれは炎の痛みではなかった。あの痛みだ、五条悟とよく似た、呪力がお腹から広がっている。

「な、なんだ貴様…その呪力は!!!!」

あまりにも膨大な呪力に気押されたその呪霊に一瞬の隙ができる。

…そういえば、名前。
さっきのタコ助、名前を言っていたわね…


「………はなみ、まひと、じょうご…。」

「はなみ、はころされた…。」



「まひと…は、人という言葉が入る…あなたは、人間…嫌いそう、」

「っだから、」





「術式反転、"漏瑚"。」
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