第15章 叫び喚いてもそこは地獄にかわりなし
この気配は、漏瑚とかいう呪霊…?いや、それならさっき全滅させようとしたときに感じていたはず、どちらかというと強い絶望を人に与えるような、戦意を喪失させるような圧倒的強者の気配。
これはおそらく、両面宿儺ではないか。
私は話でしか聞いたことがない。けれど肌感でわかる。これよりも恐ろしく強大な呪力なんて知らない。…近いのか。
参った、両面宿儺は良心を一切持たない五条悟が破壊神と化したものだと想像しているのだけれど…。一度離れるべきね。
ただただ壁を支えに歩くことしかできない私。ぼーっと様々な考え事だけが渦巻く。
七海さんたち、無事かしら。
呼び出す…?ああでも距離がわからないから呪力が足りないかもしれない…もう少し休んでからじゃないと…。
みんな死んだらどうしよう。
それでも私は生きなきゃいけない…。
少しずつだけど私は歩みを止めなかった。歩いてこの地獄の中で少しの希望を見出せたらと歩き続けた。
「…?」
声が、聞こえる。
笑い声だ。誰かの笑い声。
とっても不快な、笑い声。
呪いだ。呪いの笑い声だ。
また、誰かが傷つけられている。
所詮、地獄は地獄に過ぎないのか。
誰が傷つけられているのか。
許せない、許せないのに私では終わらすことができない。誰か。
誰か、誰か…
「あらゆる仲間、俺達全員で呪術師なんだ!!!」
この声は、東堂くん…?
______希望の光が見えた気がした。