第15章 叫び喚いてもそこは地獄にかわりなし
その作戦は思ったよりもハマったようで、呪霊は反撃する間もなく倒れ込んだ。
誰もが勝った、と思ったその時。
「領域展開、蕩蘊平線。」
「これは、さすがに…予想外…っ!!!!!」
目の前に広がる南国。けれど状況は最悪。気づいた頃には小さな魚の姿をした呪霊に体が食いちぎられる。まるでピラニアのようだ。意地でもお腹はだけは食われないように、守らねばならない。
七海さんも同じことを考えているのか、さっきから彼は私の前に立ち、私が受けるはずのダメージまで負ってしまっている。
領域内では術式も効かないだろう。呼出や術式反転は使えない。物理的に反撃しなければならない。
「呼出!!霧雨!!!!500本!!!!!!」
目に見えないだけでどこかから突進しているなら、私に向けた動線全てを霧雨を上から降らして、断ち切る!!!!!
私たちを取り囲むように、360度霧雨を降らせる。
「ぐっ……………」
隙間を潜り抜けて何匹か、残ってしまったけれど、やられたのは両腕だけみたい。…よかった。私は痛む腕を押さえた。
しかし、それでも息をつく間に暇はない。
呪霊のターゲットにされてしまった真希ちゃんが攻撃をまともに受け海辺から陸地まで吹き飛ばされてしまう。
「真希ちゃん!!!!!!」
「弱ぇって言うならよぉ、一撃で殺せやタコ助!!」
…無事、だったみたい。よかった。
吹き飛ばされた真希ちゃんは森林地から出て来た。それでも骨が折れていてもおかしくない攻撃だ、このまま戦闘を続ければ死人が出る。なんとか逆転できる一手がほしい。
なんて考えていたその瞬間。
「領域展開、嵌合暗翳庭!!!」
伏黒くん!?それにあれは…遊雲!?!!?