第15章 叫び喚いてもそこは地獄にかわりなし
「ええ、本当に全く。」
きっと彼なりに考えた結果、1番信頼できるかつ強い人に私のことを託してくれたのだろう。この呪術界を揺るがす大騒動で私たちが生き残るために。
そして七海さんもまた伏黒くんや悠仁くんに気づかれないよう配慮してくれた。その上、猪野が人の秘密を話してしまうような人間だと思われないように、知らないふりもしてくれた。
やっぱり、七海さんは優しい先輩だと思う。だから悟も執拗に絡んでたんだろうな、
ありがとうございます、と一言だけ七海さんにお礼を告げると、今度は神妙な面持ちで七海さんは話を続けた。
「…それに考えたくはありませんが、五条さんがいなくなったときその子は希望になる。」
なぜ呪術界には由緒正しき古く長くからの家柄が多いのか。それは血縁により呪術及びその才能が決まることが大抵だからだ。
だから、もしかしたら
「この子にも六眼があるんですかね。」
「可能性が0とは言い難い。…むしろあの人の子供だ、ない方がおかしい。」
「…そう、ですね。」
私もそんな予感がしている。あの時起きたズキズキと痛むような激しい腹痛。あれはきっとお腹の子の呪力が原因であることを、私は薄々気がついていた。
この子が希望になればいいな。と私はお腹をそっと撫でる。
______しかし現実は甘くないのだ。
そう、甘くない。
「これは…!?伊地知さん!!!!!!」
「……ナメやがって。」
そこには体を貫かれた伊地知さんが倒れていた。