第15章 叫び喚いてもそこは地獄にかわりなし
「ちょうどよかった、針さん。あなたにも付いてきてほしいです。」
と私が前を向いたときに、それぞれの無事を確認した七海さんがタイミングを測って話しかけてきた。
これは、七海さんについていくってことなんだろうけど…。
「?はい、それは問題ないですけどこのメンバーなら私も猪野たちと行動した方がいいんじ
ゃ…。」
2級呪術師3名と1級呪術師が2名。どう考えても私たちは別行動するべきなのでは。
「いいえ、あなたは1級術師ですから要請を各方面に伝えてもらいたい。」
「わかりました。」
それでも七海さんの意見は変わらず、先輩だし聡明な彼なりに考えがあるのだろうと少し腑には落ちないけれど指示に従うことにした。
「おい、針。」
解散間際、猪野は私を呼び止めた。少し不安そうな顔をしている。きっと彼は私と私のお腹の子の身を案じてくれているのだろう。
「気をつけろよ。」
案の定、誰にも聞こえない声で猪野はそう私に告げた。
「わかってる、猪野も気をつけて。」
敢えて私は余計なことは言わずに、それだけ答える。
すれ違いざま、私たちはお互いの拳をぶつけ合った。何があっても生き残れよ、と約束を結ぶように2人とも歩き出した。