第15章 叫び喚いてもそこは地獄にかわりなし
「ふう……いん、?」
言葉のまま飲み込むとしたら、何かの中に閉じ込められてる?自力での脱出は不可能?どうして?どうして?あの、五条悟が?なぜ?
どうなるの一体私はこの子は呪術界はどうなるのどうしたらいいのどうしよう
ぐるぐるぐるぐると思考が駆け巡る。
…落ち着け。
…落ち着け。
ああ、心臓が早い。息も浅い。
正直気が動転してる。
でも今この私の目に入っている景色は、私を必要としている。
そうでしょう、試してみる価値はある。むしろその価値しかないだろう。
「ふぅ……。」
深呼吸。息を長く吸って、吐く。それすらも震えて満足に呼吸ができない。それでも無理矢理落ち着いたと自分に言い聞かせた。
そして私はもう一度息を深く吸った。
大丈夫だよ、私。大丈夫。
ゆっくりと口を開く。声を上げようと開く唇は震えている。
______お願い。
「…"呼出"、五条悟。」
…。
……。
何も、反応がない。
何もない。
それから何度も何度も、彼の名前を呼んだ。
「…っ"呼出"!!五条悟!!!!!!」
「……五条悟、!!」
涙が溢れて嗚咽しながら、私は彼の名前を何度も呼んだ。あなたの名前を何度も。
「…五条悟、五条悟。…ごじょう、さとる…っ!五条っ……………先生ぇ……っ、!!」
けれど、呼べどもあなたは私の前に現れない。
その日初めて五条悟は私が名前を呼んでも姿を表さなかった。そして私は改めて実感したのだ、五条悟の消失を。