第44章 Back to December ☆

「サラ…これ。」



そう言って、赤井さんは徐にポケットから赤い小さな箱を取り出して、わたしに手渡した。


「開けてみろ」


渡されるがまま、受け取って、言われた通り小さな箱にかかったリボンを外した。



中を開けるとそこには指輪があった。


プラチナ素材の、シンプルな指輪。



一瞬、これがなにを意味するのかわからなくて、ぼーっと指輪を見つめたまま、唇を震わせていると、赤井さんが急に立ち上がり、ゴンドラが揺れた。

そして、わたしの隣にすとんと座ると、わたしから指輪とわたしの右手を手に取った。


「…石ついたやつは、ちゃんと全部解決したら、渡すから。
…これは、ただ俺がお前を見て、俺の女だと安心したいから買った。
左手には…いつか俺と同じものを、本物を渡すまで付けるなよ」


そう言いながら、わたしの右手の薬指に指輪をはめた。


涙が、溢れた。