【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第44章 Back to December ☆
驚き過ぎて目を丸くしてるわたし。
全身、頭からバケツの水をかぶったみたいにびしょ濡れだ。
思えば、周りの人はレインコートを着ている。
後悔しても知らないからなってこういうこと?!
ハッと赤井さんを見ると、赤井さんも同じようにびしょ濡れになっていて、わたしは思わず笑ってしまった。
「ふ…」
「だから、言っただろ?」
「でも、一緒に濡れてくれるんだね」
「世話が焼ける。」
びしょ濡れになった赤井さんはやれやれ。と言いながら頬杖をついた。
引きずってでも後ろの席に座ることもできたのに、赤井さんは一緒に濡れる選択をしてくれた。
それが、すごく嬉しかった。
わたしは頬杖をついていた方の腕をぐいっと引っ張り、赤井さんが驚いて横に倒れたところを、頬にキスをした。
赤井さんは驚いてこっちを見た。
「…みんな見てるぞ」
「みんなショーに夢中で見てないよ」
まるで、いつも赤井さんがわたしにする言い訳みたいな真似をして笑うと、赤井さんもフッと笑って言った。
「…じゃあ、遠慮なく」
そう言って、頬じゃなくて唇に向かって、自分の唇を近づけてくる赤井さん。
もう少しで唇が重なるところで、また大量の水がわたしたちの頭上から降り注いだ。
バシャーーーン
「……くそ…」
「ふふっ…あはは」
それから、イルカショーが終わるまでわたしたちは何度も滝のような水に打たれ、周りの客があー楽しかったと言いながら帰る中、全身ずぶ濡れになったわたしたちに慌ててスタッフの人が駆け寄ってきた。
「だ、大丈夫ですか?…もしよければ、ドライヤー使います…?」
「お、お言葉に甘えて」
そう言ってスタッフの人に裏側まで案内され、急遽ドライヤーを借りることになった。