【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第44章 Back to December ☆
あの時と同じように、サラは目を輝かせながら水槽を眺めた。
しろくまが気持ちよさそうに水中を泳いでいるのを見て、サラは俺の袖をくいっと引きながら言う。
「ねえ、なんで水槽にぶつからずに泳げるんだろうね!」
「ふっ…お前、前に来た時もおんなじ顔してたぞ」
目をくりくりさせて俺を見ながら尋ねるサラが可愛すぎて、思わず笑いながらそう言った。
突然笑われて、むっとした顔をしたサラ。
ほら、その顔も前と同じだ。
「じゃあ、どうして水槽にぶつからずに泳げるのか知ってるの?」
「さあ」
「ほら!赤井さんだって知らないじゃない」
まるで、俺が知らないことがあるのが嬉しい。というように、サラは俺を指差して笑った。
俺は別に、そんなことどうでもよくて、ただサラとこうやって笑いながら同じ場所に来れたのが嬉しいんだよ。
「サラ」
サラの名前を呼ぶと
「ん?」
と首を傾げてこっちを見てくる。
俺はそんなサラの顎に手を添えて上を向かせると、ゆっくりと唇を奪った。
あの時、出来なかったことをやりたい。
人目も憚らずキスをした俺を、サラは目をまん丸に開いて見てくる。
そして、時間差でじわりと目に涙を浮かべている。
「…泣くな」
「だって…」
周りから見たら、意味不明な2人だろう。
人目も憚らずキスをして、彼女が涙を浮かべるとは、どんなバカップルだよ。
俺たちは、まるであの日の答え合わせをするみたいに、水族館の中でもずっと手を繋いで、くっついて、隙があればキスをした。