第44章 Back to December ☆

赤井side


思えばあの日は、全て今日で最後にすると覚悟を決めていたはずだった。

だが俺はまた、サラを取り戻し、この場所でサラの名前を呼んだ。

俺の姿を見て、サラは「良かった…」と言った。
真意を問うと、俺があの日「最後だから」と言った言葉を今でも覚えているらしい。


5ヶ月前の俺に言ってやりたい。
最後にできるわけがなかったと。

すでに泣きそうになっているサラの頭をくしゃっと撫でると、サラは目に涙を貯めながら笑った。

そして、サラの手を握って歩き出そうとしたとき、またサラが不安そうに聞いてくる。


「…今日はずっと、手繋いでてくれる？」


そうだな。
あの日は、プラネタリウムに入った辺りから、手を繋ぐことを止めた。
俺にはもう、この手を握る資格は無いと思っていたから。

俺は繋いだサラの手をギュッと握り、もう片方の手で頭をなでながら


「あぁ。勿論」


そう言ってサラの手を引いて、水族館に入った。