第41章 Lover

安室side


「あーあー。何やってるんだか」


車を降りて、川で何かしてる恋敵のところへ走っていったかと思えば、サラまで川に入って何かを探してる。

お人好しにも程があるぞ…
あんなびしょ濡れになって一緒に探してやる義理ないだろうに。

僕は呆れながら車の外に出て傘をさしながらサラを見ている。

すると、助手席に置いてあるサラのバッグから、スマホの着信音が響いた。


「ん？」


画面を見ると、赤井秀一の文字。
帰りが遅いから心配してるんだな、きっと。

僕は思わずその電話の受話器を上げた。


「サラ？お前、一体どこに？！」

「…サラなら川にいますよ。
あのアメリカ人女と一緒に」

「…バーボンか？
…どう言うことだ。サラを出せ」

「だから、あのセリーナって言う女と川に…」

「どこの川だ？！」

「堤無津川ですよ」


僕がそう言うと、プツッ…と電話が切れた。

お人好しは、僕もか…
つくづく自分の哀れさに呆れながら、僕は赤井が来るまでサラが怪我をしないように見守っていた。