【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第39章 BlankSpace ☆
電話口でサラは何一つ文句も言わず、ただ泣きそうな声で「…そう…」と言った。
サラは、ワガママを殆ど言わない。
聞き分けが良くて、俺はついサラに甘えてしまう。
サラなら許してくれると思ってしまう。
駄目だな。
ちゃんと安心させてやらないと。
明日、帰ったら思い切り抱きしめてやろう。
サラがもういいと言うまで抱きしめて、キスをしてずっと髪を撫でてやりたい。
電話でおやすみを言うのは久しぶりで、電話を切るとき寂しさが増した。
リビングに戻ると、セリーナは起き上がって水を飲んでいる。
「電話、終わったの?」
「ああ」
「…久しぶりね。こうやって二人で話すの」
「そうだな」
付き合っていたときから、俺はあまりセリーナに自分の話をしなかった。
いつもセリーナが俺に話しかけていて、俺はそれを聞いてることが多かったな。
それに比べると、サラには俺から話している方だと思う。自分でも。
「シュウは、例の組織の件が片付いたら戻ってくるんでしょ?アメリカに」
「その予定だな。」
「じゃあ、わたし待ってる」
セリーナは俺の手を握りながらそう言った。
俺はその手を静かに離して、セリーナの目を見ながら言う。
「セリーナ。俺はお前とやり直す気は一切ない。
諦めてアメリカに帰れ」
セリーナは、何も言わず俺をじっと見た。
「悪いが、もう寝るから」
俺はセリーナから目を逸らして、リビングを出て、沖矢昴に貸してもらっている部屋に移動した。
ベッドに寝転がると、ふとサラとこの家に一緒に住んでいた頃を思い出した。
数ヶ月前が、随分昔に感じる。
このベッドで一緒に眠ると、自分の匂いに混じってしばらくサラの匂いが残った。
それが嬉しくて、理由をつけてはサラと一緒に眠った。
早くサラを抱きしめて寝たい。
そう思いながら、酒が入っていたこともあって俺は眠りについた。