【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第39章 BlankSpace ☆
「疲れた…」
ご飯の途中、離席して化粧室に来た。
あとはデザートだけ。
我ながらよく耐えたよ…
今日この時間が終われば、わたしは赤井さんと同じ家に帰って、そのまま手を繋いで寝るんだから。
後すこしの我慢だ。
それだけがわたしの心の拠り所だった。
化粧室の鏡でじーっと自分の顔を見てみる。
間違いなくセリーナさんの方が美人だ。
それに胸も大きい。スタイルもいい。
おまけに秀才っぽいし、お金持ちっぽい。
完敗じゃん。
そう思って、はぁーとため息を吐いて化粧室を出ようとした時、
「あら。」
入れ替わりで化粧室に入ってきたセリーナさんとばったり出くわした。
き、気まずい…
触らぬ神に祟りなし。と言い聞かせ、軽く会釈をしてやりすごそうとするわたしを、セリーナさんは相変わらず高飛車な感じで話しかけてくる。
「ねえ。シュウって、セックスすっごく上手でしょ?」
「え…」
何…なんでそんなこと…
わたしが困惑をしていると、セリーナさんは勝ち誇ったような顔をして言った。
「わたしが、シュウの初めての相手だから」
時間が止まった気がした。
神様。なんて残酷なの。
この人はただの元カノじゃなかった。
まさかのわたしの世界で1番大好きな人の、初体験の相手。
わたしが、明らかにショックを受けていると、セリーナさんは隙を与えないほど切り込んでくる。
「シュウとは、学生時代からの付き合いなのよ。
あなたはたかがここ数ヶ月だけの関係でしょ?
…悪いけど、返してもらうわね」
「…赤井さんは物じゃありませんから。」
「ああ。わたし、根拠のない強がり、嫌いなの。」
セリーナさんはそう言ってまた不敵に笑う。
だめだ。完全に一枚上手。
このまま言い合いしても勝てない気がして、わたしは逃げるように化粧室を出た。
初体験って、キツいよ…
赤井さん、わたしがタクミの話するたびにこんな気持ちだったんだ。
過去は過去。変えられない。
そんな言葉に甘えていたけど、それでも嫌だ。
あの人にどんな風に触れたの?
そう思ってしまう。
今日は、一緒のベッドで眠れない。
複雑すぎて心臓が溶けそうだ。