【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第34章 アイネクライネ
大人にまったく子供扱いをされないレンは、俺のその言葉を聞いて、しばらく黙った。
そのあと、うつむいたまま口を開く。
「…赤井は、パパとママ元気なの?」
「…父は行方不明だ。母ももう何年も会っていない」
「え…」
レンは俺を見て、まるでかわいそうなものを見るような目で見た。
「さみしくないの?」
「そうだな。でも、俺には仕事があるし、サラもいる。寂しいと思ったことは一度もないよ」
「仕事…」
レンはそうつぶやいてまた下を向いた。
「ほら、頭洗ってやるからこっちにこい」
そう言って、洗い場の方にレンを引っ張ると、レンは意外と大人しくこっちに来て、俺の前にストンと座った。
なんだ突然。そう思いながらも、シャンプーを付けてレンの髪をワシャワシャと洗う。
「…パパも、よくこうやって洗ってくれたんだ」
「ホォー。俺はそんな記憶まったくないな」
「僕も、赤井みたいに、やりがいある仕事を見つけて、大切な人を見つけたら、また頑張れるようになるのかな」
「…お前、さっきから思っていたが、年上を呼び捨てにするのはやめろ」
「うるさい。赤井」
結局そんな言い合いをしながらもレンは気持ちよさそうに目を閉じて上を見た。
素直じゃないやつだ。
そう思いながら俺はレンの髪についたシャンプーを洗い流した。