【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第34章 アイネクライネ
「おやつとかジュースとか買って帰る?」
「…いらないよ」
「そう。ビーフストロガノフ…材料は…」
そう言ってググって、出てきたものをカゴに入れていくと、レンくんがチョコレートをぽいっと入れた。
「なんだあ。
やっぱりおやつ欲しかったんだ」
「違うよ。隠し味。
いつもママが入れてた。
パパも、チョコが入ってるのが好きだったんだ」
初めて見た時、この子は他の子と雰囲気が違うなーと思っていたけど、きっとかつてのわたしもこうだったんだろう。
両親が死んで、天涯孤独になった子供の目。
わたしは、スーパーにいるにも関わらず、その場でその子を抱きしめた。
「辛いね…」
「突然何だよ!」
そう言って離れようとするレンくんを、ぎゅっと抱きしめる。
わたしはあの頃、ただ誰かに抱きしめて欲しかったから。