第33章 If This Was a Movie　☆

ホラー映画なんて、人間が作り出した最もコスパの良いただの創作だ。


そう頭の中で何度も何度も唱えながら予告を見ては身体を震わせていると、ついに本編が始まった。


部屋は真っ暗で、テレビ画面に映る風景がやけにはっきり見える。

怖い…なんか出そう…
なんなら、LDKのドアの向こうに誰かいそうな気すらしてくる…


そこまで考えて、わたしは赤井さんに抱きつく力を強めた。
赤井さんは、わたしを守るみたいに肩を抱き寄せてくれている。

好き…好きなんだけど、今はそれどころじゃない。


画面が怖くて赤井さんの影に隠れてチラチラ画面を見ていると、赤井さんはそんなわたしを見て少し意地悪そうに言う。


「ちゃんと観てるか？」

「観てる！」

「ホォー。」


ホラーなんてコスパの良い創造
ホラーなんてコスパの良い創造


頭の中でそう繰り返して赤井さんの腕にしがみついたままじっと画面を見る。