【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第5章 TiAmo ☆ ♪
「赤井さん!」
勢いよく赤井さんの部屋のドアを開けた。
赤井さんは寝る前の本を読んでいるところで、驚いた様子でこちらを見た。
「どうした?」
「ごめんなさい!!」
わたしは、バッと頭を下げた後、続けた。
「わたし、昼間に赤井さんが電話してるの聞いちゃったの…。」
赤井さんはこちらを見ながら、読んでいた本をパタリと閉じた。
「赤井さんには、忘れられない人がいるって…」
その事を自分の口に出した途端、涙が溢れてくる。
「それが…っ悲しくて…どうしてかわからないけど、辛くて」
喉の奥がツンとなり、涙で視界がぼやける。
赤井さんが今、どんな顔して聞いてるのか見えなくて、一層不安になる。
「こんなに誰かのことを知りたいと思ったのは…初めてだったから…」
「サラ…」
赤井さんが、優しくわたしの名前を呼んだ。
泣いてる顔を見られたくなくて俯いたままのわたしは
赤井さんがこちらに近づいてくるのだけはわかった。
「…嫌いにならないで…」
絞り出すような声でそう伝えた時、
赤井さんがわたしの腕を引き、そのまま赤井さんの腕の中に閉じ込めた。
たった1日離れていただけなのに、赤井さんのタバコの匂いが随分久しぶりに感じる。
あたたかくて、優しくて、また涙が溢れた。
そして、赤井さんの背中に腕を回すと安心してため息が出た。
「俺は、口下手だから、女が喜ぶようなことを言うのは苦手だ。
そして、俺の記憶に残る女がいることも確かだ。」
赤井さんはそう言うと、抱きしめる力をギュッと一層強めて続けた。
「けれど、今俺が一緒にいたい。
守りたいと思うのは、お前だ。」
そう言って、赤井さんはわたしの頬を手のひらで覆った。
そして、ポロポロと涙をこぼすわたしの涙を指で拭う。
「お前は、意外とよく泣くな」
「っ…赤井さんの前では泣きたくないのに…」
「馬鹿だな。俺の前でしか泣くなよ。」
そう言って、赤井さんの唇がわたしの唇に重なった。
チュ…と数秒重ねて、ゆっくり離すと、わたしの溢れる涙を指で拭った。