【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第5章 TiAmo ☆ ♪
安室さんのRX-7が工藤邸の前に到着したのは、24時を回った頃だった。
「着きましたよ」
安室さんは気を遣ってか、家の真ん前ではなく、阿笠博士の家寄りに車を停めた。
「ありがとう…あ、このお水…」
「ああ、もう後少しだしそのまま持って帰って飲んでください」
「ほんと…何から何まで…すみません」
あんなに失礼な態度取ったわたしを、介抱して家まで送ってくれたわけだから、頭が上がらない。
「お礼はさっきもらいましたよ。」
わたしの頭をポンポンと撫でながらそう言う安室さんを、わたしはよく分からず首を傾げて見た。
「じゃあ、おやすみ。」
そう言うと、安室さんは車を発進させた。
安室さんの車が角を曲がるまで見送ると、わたしは重い足取りで工藤邸の門を開けた。
立派すぎる門は、どんなにそっと開けてもガチャリ…と、音が響く。
赤井さんはもう寝ているだろうか。
心配している…かな…
それとも呆れて口も聞いてくれないかも。
いろんな可能性を脳内で並べたあと、わたしは意を決して玄関のドアに手をかけた。
そのとき、
ガチャリ
わたしがドアを引く前に、ドアが勝手にこちら側に開いた。
「ええっ!?」
驚いて後退りするが、ドアを開けた人物を見て、視界が滲んだ。
「おかえり」
「ただ…いま」
「飯は?」
「あ…ちょっと食べた…」
バーでおつまみを少し食べたからそう答えた。
帰ってきて一番に抱きしめてくれるかと思ってた。
けれど赤井さんは、何も言わずに家の中に入り、わたしもその後を追ってとぼとぼと家の中に入った。
玄関ホールを少し進んだとき、赤井さんはくるっとこちらを向いて言った。
「どこにいたとか、何をしていたとか、聞きたいことは山ほどあるが、とりあえず無事でよかった」
「…当たり…前じゃない。
わたしが、どうにかなるわけないでしょ?」
「そうだな。お前は強いから」
赤井さんは少しだけ笑って、わたしの髪を撫でた。
髪にも神経が通っているんじゃないかと思うぐらい、触れられたところから熱くなる。
安室さんに触れられた時と全然違う。
「じゃあ俺はもう寝るから。
お前も早く休めよ」
そう言って、赤井さんはわたしを残して二階へ上がって行った。