【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第5章 TiAmo ☆ ♪
安室side
組織にいた頃に出会った ジェーン は、
男数人がかりでかかっても捕まえられない強さと、相手を翻弄するほどの妖艶な雰囲気があった。
実際、あのジンですら、ジェーンのことは一目置いていた。
完璧で、隙がなく、孤高の存在
ずっとそう思っていた。
しかし、今僕の隣の助手席ですやすやと眠ってる彼女は、まるで同一人物には見えない。
たかが恋愛ぐらいであんな弱音を吐き、涙を流し、酔いつぶれて眠るという、完璧とは程遠い姿を見て、
本当の彼女を見たくなった。
信号待ちで、彼女の頬に触れると、酒のせいかほんのり温かみを帯びている。
「ちゃんと、人だったんですねえ」
界隈では、人造人間じゃないか?という噂すらあったが、素顔は何でもない普通の24歳の女だった。
スパイとしての魅力を買って公安に勧誘したが、人間としても女としても、興味が湧いてきた。
ふと、彼女が先程こぼした
「どうして過去まで欲しくなるんだろう」
という言葉が脳内に響いた。
「僕なら、そんなくだらないことで泣かせませんけどね」
そうつぶやくと、眠る彼女の唇に自分の唇を重ねた。
いつのまにか信号は青に変わっていて、後ろの車のクラクションでハッと我に変える。
パッパーーーー!
隣で眠っていたサラも、ハッと目を覚まし、辺りをキョロキョロ見渡した。
「もう青」
そうつぶやいて車を発進させる僕を、サラはにょとんとした顔で見ていた。
ヤバイ。その顔、ど真ん中だ。
彼女の唇を奪ったことを、全然気づかれていないのが可笑しくて、僕はははっと笑いながら信号の角を曲がった。