【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第5章 TiAmo ☆ ♪
家を飛び出したわたしは、銀座のバーにいた。
ポケットの中にお札を数枚入れていてよかった。
電車に乗り、ふらっと目に止まったバーでジントニックを注文する。
アメリカにいた頃、よくバーで1人で飲んでいた。
わたしがお酒に頼るのは仕事の後の悪夢を見る前の寝酒、
ストレスが貯まった時
そしてどうしようもなくさみしくて泣きたくなった時だ。
バーでジントニックを飲んでいると、ふと過去を思い出す。
「ジェーン」
ニューヨークのバーカウンターで、ジンはそう呼びながらわたしの隣に座り、わたしの髪に触れた。
「名前、知ってるんだ…」
「お前は興味深い存在だからな。」
ジンはそう言いながら、わたしを冷たい瞳で覗いてきた。
過去を思い出す瞬間、わたしはその記憶を洗い流すかのように出されたジントニックを一気に喉に流し込んだ。
頭がぼーっとして、視界がぼやける。
そもそもわたし、どうしたいの。
ただ普通の生活がしたくて諜報員をやめたのに、結局普通の仕事もせず、赤井さんに甘えて、その彼が自分のものにならないと悟って自暴自棄になってる。
こんなの選ばれなくて当然か…
フッと笑って 「これ、もう一杯ちょうだい」 と、グラスをバーテンに渡した。
長い髪をかき分け、膝をついたまま目を閉じるとしばらくしてまた新しいお酒が出される。
「お客様、そろそろ軽いものに変えましょうか。
お冷などいかがです?」
気づけばもう6杯目のジンを飲み干していて、バーテンが少し心配そうに聞いてくる。
「…大丈夫。あと一杯だけだから」
そう言ってグラスに口をつけた。
その時