第30章  I belong with you ♪

ふと下を見ると、サラが涙目でこちらを見ている。
サラの口を塞いでいた手を、震えながら外してサラの頬を撫でた。


「ごめん…嫌だった？」

「ううん…そうじゃない…そうじゃないの…」


そう言ってサラは泣いた。
理由も言わず、ボロボロと泣いた。

サラは嘘をつくのが下手だ。
なんにもないフリをするのがものすごく下手。


「サラ。寝ようか。
もう、何もしないから、一緒に寝よう」

「うん…」


僕はサラをベッドに運ぶと、サラを抱き枕みたいに抱きしめた。


「零…」


サラは、僕への気持ちを確かめるみたいに、僕にしがみついた。


サラ…僕は君を誰にも渡さないと誓ったけど、その決心が揺らぐ。

やっぱり、サラにはあいつじゃないとダメなのか。
そんなこと今更思わせないでくれよ。
頼むから…


「好きだよ…」


僕は祈るようにそう言って、サラをまた抱きしめた。