【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第30章 I belong with you ♪
ねぇ、赤井さん。
わたし、零が好きって言う資格、きっともう無いんだよ。
だけど、零がそれでも良いと言ってくれるなら、わたしは零の手を握らなきゃいけない。
広い背中に頬をつけて、赤井さんの匂いを感じながら思った。
この匂いが心地良いと思う気持ちも、赤井さんに好きだと言われて嬉しかった気持ちも、全部見ないフリして、消さなきゃいけないんだよ。
赤井さんは、ホテルに着いてわたしを下ろすと、みんなに見つかる前に一足先にタクシーを捕まえて帰って行った。
「サラ!」
わたしに気付いた零が走ってきて、わたしを抱きしめた。
「零…」
「良かった…本当に…」
零に抱きしめられた瞬間、赤井さんに見つけてもらった昨日の夜を思い出した。
赤井さんが、「良かった…」といいながらわたしを抱きしめたことを。
ぎゅっと目をつぶったり、零の背中に手を回してぎゅっとしがみついたりして、赤井さんを消そうとした。
だけど、消えなかった。
零に抱きしめられて、零の香りで包まれてるのに。
消えなかった。
どうしても。