【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第5章 TiAmo ☆ ♪
自室のベッドで寝転がりながら、ぼーっと窓の外を見てた。
もう窓の外は暗くなっていて、カラスの鳴き声もしなくなった。
先程からずっと考えてる。
赤井さんには、わたしの知らない過去があって
忘れられない恋人がいて
赤井さんを思う女の人がまだ近くにいて、
きっとその人たちに比べたら、わたしは赤井さんのことを何も知らない。
好きな色すら知らないんだ。
部屋に転がった紙袋には、買ったばかりの未開封のスマホと、店員さんが可愛らしい包に包んでくれた下着
こんなの買って、馬鹿みたいだ。
自嘲気味に笑って、またベッドの中に顔を埋めた。
コンコン
そのとき、部屋をノックする音と、そのすぐあとに、声が聞こえた。
「サラ?入るぞ」
声の主が赤井さんだとわかり、一層ベッドの中に顔をもぐらせた。
「帰ってきてたのか。
…どうした?体調でも悪いのか」
いつもより少し優しい声で、気にかけてくれる。
けど、今のわたしにはそれさえ「さっき、他の女の人の話をしていたから、誤魔化すように優しくしてくれてるんだ」そう捉えてしまう。
忘れられない人がいるのに、どうして優しくするの?
どうしてわたしにキスしたの?
「頭いたい」
嘘のような本当のようなことをぽつりと呟くと、わたしはちょっとだけ布団から目を出した。
「熱でもあるのか」
そう言って赤井さんがわたしのおでこに手を触れようとしたとき、わたしは咄嗟にそれを払い除けた。
「大丈夫だから。」
「大丈夫って…」
そう赤井さんが困ったように呟いたとき、
手を払い除けた拍子に、わたしの着ていたブラウスがズレて肩が見え、安室さんに肩口につけられたキスマークを赤井さんに見られてしまった。